食道静脈瘤

esophageal varix

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病態
肝硬変をはじめとする肝疾患の際に門脈圧が亢進し、食道の内側の静脈が太く蛇行した状態をいいます。程度の軽いものは特に心配ありませんが、大きくなると、食道粘膜の壁が破れて、時として突然大出血を来すことがあります。
全身流れた血液は、肝臓に一度集まります。しかし、肝硬変などの肝臓の病気がある場合、肝臓にたくさんの血流が戻れなくなります。
肝臓もどれなくなった血液は、抜け道を求めて、肝臓のまわりの細い血管に流れていきます。
食道の細い血管にも、肝臓に戻れなかった血液があふれて流れ込んできます。本来、細かった血管も、流れる血液の量が多くなると次第に太くなり、コブ状に膨れます。これを「静脈瘤」と呼びます。
症状 小さなうちは症状は特にありません。しかし、肝臓の病気、特に肝硬変と診断されている方は、定期的な食道の検査が必要です。
検査

上部消化管内視鏡検査:内視鏡で見て診断します。1占拠部位 2形態 3基本色調 4発赤所見 5出血所見 6粘膜所見にて評価し、破裂の危険を予測します。

判定因子 記号 細分
1 占拠部位 L Ls 上部食道まで認める静脈瘤
Lm 中部食道まで認める静脈瘤
Li 下部食道まで認める静脈瘤
Lg 胃静脈瘤  Lg-c:噴門輪に近接する静脈瘤
Lg-f:噴門輪より離れて孤在する静脈瘤
2 形態 F F0 静脈瘤として認めないもの
F1 直線的な細い静脈瘤
F2 連珠状の中等度の静脈瘤     
F3 結節状あるいは腫瘤状の太い静脈瘤
3 基本色調 C Cw 白色静脈瘤
Cb 青色静脈瘤
4 発赤所見 RC RC(−) 発赤所見をまったく認めない
RC(+) 発赤所見を限局性に少数認める
RC(2+) RC(2+)と(3+)の間
RC(3+) 発赤所見を全周性に多数認める
5 出血所見
出血中の所見 噴出性出血
にじみ出る出血
止血後の所見 赤色栓
白色栓
6 粘膜所見
E びらん
Ul 潰瘍
S 瘢痕
治療 治療には、急性出血例に対する緊急治療と、待機予防的に行なわれる治療の2つがあります。

1.緊急治療
まず出血による全身状態の安定を図ることが大事です。輸液にて循環血液量(全身をまわる血液量)の維持や、出血に応じて輸血なども施行します。そして、出血部位を調べるために、緊急で内視鏡検査を行います。
静脈瘤の破れている部位が見つかったら、そこを輪ゴムで縛ったり、硬化剤と呼ばれる血管を固める物質を投与して止血をします。しかし出血量が多く、内視鏡をやっても、血だらけでどこから出血してるかわからない、という場合にはSBチューブとよばれる風船を食道に入れてふくらませ、食道を内側から圧迫して止血を試みます。そして、とりあえず止血をした後に後日、残った静脈瘤をきちんと治療します。(2.予防的治療へ)

2.予防的治療
療静脈瘤が破裂しそうな場合、破れる前に治療を施します。

  1. 内視鏡的静脈瘤結紮術EVL:内視鏡から、輪ゴムを使って静脈瘤を縛ってつぶします。
  2. 内視鏡的硬化療法EIS:血管内を硬める物質を静脈瘤に注射します。

通常これらの治療を組み合わせて行うのが一般的です。
治療を行った後も定期的に内視鏡検査を受けて、再発がないかをチェックします。
また、静脈瘤ができた原因(肝疾患)に対しても検査・治療が必要です。

 治療前  治療後

内視鏡的静脈瘤結紮術EVL

静脈瘤を吸引する
リング(ゴム輪)を押しだし
静脈瘤を縛る
あとは壊死して脱落を待つ