胃潰瘍

gastric ulcer

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病態 胃や十二指腸の壁がえぐれ、クレーター状になった状態です。
胃潰瘍/十二指腸潰瘍は、ストレス・薬剤などにより胃酸の分泌(ペプシンの作用)と胃粘膜の保護の関係が崩れたときに発生します。粘膜の抵抗が衰え、粘膜を破り、胃の壁がえぐれた状態をいいます。十二指腸潰瘍は若者に多いですが、胃潰瘍は中高年に多い傾向があります。えぐれた部位に血管があると、出血を来たしたり、壁を貫くと胃穿孔(穴があいた状態)となり、緊急事態となります。
分類  
Ul-1
「山ノ内製薬消化器図譜引用」
Ul-2
「山ノ内製薬消化器図譜引用」
Ul-3
「山ノ内製薬消化器図譜引用」
Ul-4
「山ノ内製薬消化器図譜引用」


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Ul-1: 潰瘍の初期で粘膜層に組織欠損がとどまるもの。「びらん」ともいいます。
Ul-2: 組織欠損が粘膜筋板を越えて、粘膜下層に達するものです。
Ul-3: 組織欠損が固有筋層に達するものです。
Ul-4: 組織欠損が固有筋層を貫き固有筋層が断裂しているものです。
症状 食後に心窩部痛(みぞおちの痛み)から始まることが多いようですが、人によって症状は様々です。胸焼けや吐き気を伴うこともあります。
黒色のタール便や吐血は出血しているサインであり緊急に処置をしないといけません。
検査 内視鏡検査が必要です。潰瘍性病変は常にガンの可能性を疑い、病理組織検査のために、生検(組織の一部をとってくる)をします。ピロリ菌の存在チェックは、胃の出口付近より粘膜の一部を採取して調べます。
出血をしている場合には、まず全身状態の安定をはかる為に輸液、輸血を施行します。その後、内視鏡検査の前に胃をよく洗浄し、中にたまった血液を取り除きます。胃の洗浄は、鼻から細い管を胃の中に入れて、そこから胃に水を入れたり引いたりして行います。その後内視鏡にて潰瘍部に止血の薬剤を注入したり、クリップを使い止血します。
治療 出血している場合や、出血しそうな潰瘍→内視鏡で確実に止血をする(緊急)

出血の危険は少ない潰瘍→内服薬で治療開始

潰瘍の治療は、潰瘍の状態によって異なります。潰瘍から出血している場合、または潰瘍の底に血管が見えていて、出血の危険が高いと思われる場合には、内視鏡にて止血の治療を行います。

内視鏡下クリッピング止血法
露出している血管や出血部位にクリップを掛け血管を閉じてしまう方法。

内視鏡下ヒートプローブ止血法
ヒートプローブと呼ばれる先端が加熱できる器械を内視鏡で見ながら潰瘍の出血部位にあてて、そこを焼いてカサブタをつくってしまう方法。

内視鏡下エタノール局注療法
アルコールを注入し、出血している血管を固めてしまう方法。時に血管を収縮させる薬(アドレナリン)を注入することもあります。

以上の方法で、大部分の出血は止めることができますが、止血治療後は食事をしばらく中止し、内服に加えて点滴薬の治療を行います。
内視鏡的に治療が困難な場合には、血管造影(腹腔動脈造影)にて出血の原因である動脈を内側から詰めてしまうという治療を行います。
これでも再出血してしまう場合には、やむなく外科的手術(胃の切除)が行われることになります。

出血の危険の少ない潰瘍の場合には、内服薬にて治療を開始します。治療に使用される薬剤としては、プロトンポンプインヒビター(PPI)、H2ブロッカー(H2B)の2つが主流です。このいずれかに加えて粘膜保護剤などを使用することが一般的です。

胃潰瘍/十二指腸潰瘍は再発しやすい病気です。

内服中止後1年以内の再発率は胃潰瘍20%、十二指腸潰瘍30%といわれています。

ヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌) Helicobacter Pylori
「内服をやめると再発が多い」「内服しているにもかかわらず潰瘍が治りにくい」などは、ピロリ菌の存在が強く疑われます潰瘍の患者さんの約90%にピロリ菌が存在しているといわれています。この菌を除く治療(除菌療法)を行えば再発率は大幅に減少することが明らかになっています。

胃潰瘍の内視鏡画像

↑出血を呈した胃潰瘍
難治性多発胃潰瘍
(↓写真2点)