大腸がん取扱い規約
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II.臨床病理学的事項
(手術所見および切除標本所見)


1.腫瘍の形態分類

I型:隆起型
(1)Ip − 有茎型
(2)Isp − 亜有茎型
(3)Is − 無茎型
II型:表面型
(1)IIa  − 表面隆起型
(2)IIb  − 表面平坦型
(3)IIc  − 表面陥凹型
III型:陥凹型
1型:腫瘤型
2型:潰瘍限局型
3型:潰瘍浸潤型
4型:びまん浸潤型
5型:分類不能

2.腫瘍の壁深達度

A.肉眼的壁深達度
肉眼的壁深達度は手術所見および新鮮切除標本所見で推定し、固定後の割面の所見で決定される。

(1)漿膜を有する部位

M :癌が粘膜内にとどまり、粘膜下層に及んでいない。
SM:癌が粘膜下層にとどまり、固有筋層に及んでいない。
MP:癌が固有筋層にとどまり、これを越えていない。
SS:癌が固有筋層を越えているが、漿膜表面に出ていない。
SE:癌が漿膜表面に露出している。
Si:癌が直接他臓器に浸潤している。

(2)漿膜を有しない部位
   M、SM、MPは(1)と同じ

A1:癌が固有筋層を越えているが、さらに深くな浸潤していない。
A2:癌が筋層を越えてさらに深く浸潤しているが、他臓器に浸潤していない。
Ai:癌が直接他臓器に浸潤している。

B.組織学的壁深達度
肉眼的壁深達度のアルファベットの記号を小文字に変更する。
(例:M→m、SM→sm、A2→a2)


3.腹膜播腫性転移

P0:播腫性転移を認めない。
P1:近接腹膜にのみ播腫性転移を認める。(合併切除可能なもの)
P2:遠隔腹膜に少数の転移を認める。
P3:遠隔腹膜に多数の転移を認める。

注:卵巣にのみ転移が存在する場合にはP2とする。


4.脈管侵襲

a)リンパ管侵襲
大腸壁内リンパ管への癌の侵襲の有無および程度を次ぎのように分類する。

ly0:侵襲の認められないもの。
ly1:侵襲が軽度な場合。 
ly2:侵襲が中等度の場合。
ly3:侵襲が高度の場合。

b)静脈侵襲
大腸壁内静脈への侵襲の有無および程度を次ぎのように分類する。

v0:侵襲の認められないもの。
v1:侵襲が軽度な場合。 
v2:侵襲が中等度の場合。
v3:侵襲が高度の場合。

5.肝転移

H0:肝転移を認めない
H1:一葉にのみ転移を認める。
H2:両葉に少数散在性(4個以内)に転移を認める。
H3:両葉にわたり多数散在性(5個以上)に転移をみとめる。

6.腹腔外遠隔他臓器転移

M(-):遠隔他臓器転移が認められないもの。
M(+):遠隔他臓器転移が認められるもの。


7.リンパ節転移

a)肉眼的所見による分類

N (-):リンパ節に転移を認めない。
N1(-):第1群リンパ節に転移を認めない。
N1(+):第1群リンパ節に転移を認める。
N2(-):第2群リンパ節に転移を認めない。
N2(+):第2群リンパ節に転移を認める。
N3(-):第3群リンパ節に転移を認めない。
N3(+):第3群リンパ節に転移を認める。
N4(-):第4群リンパ節に転移を認めない。
N4(+):第4群リンパ節に転移を認める。

b)組織学的所見による分類
 *アルファベットを小文字に変更する。


8.リンパ節郭清の程度による大腸切除術の分類
大腸切除術をリンパ節郭清の程度(dissection=D)により次ぎの4種に分類する。

D0:第1群のリンパ節郭清を行わないか、またはその郭清の不完全な大腸切除術、あるいは単に主腫瘍のみを切除したものをいう。
D1:第1群のリンパ節のみの郭清を伴う大腸切除術をいう。
D2:第1群のリンパ節および第2群のリンパ節の郭清を伴う大腸切除術をいう。
D3:第1、第2、第3群のリンパ節を含めて郭清する大腸切除術をいう。
病期 壁深達度 リンパ節転移 腹膜転移 肝転移 腹腔外遠隔
他臓器転移
0 M N(-) P0 H0 M(-)
I SM,MP N(-) P0 H0 M(-)
II SS,SE,A1,A2 N(-) P0 H0 M(-)
IIIa Si,Ai N1(+) P0 H0 M(-)
IIIb 壁深達度に
関係なく
N2(+)
N3(+)
P0 H0 M(-)
IV 壁深達度に
関係なく
N4(+) P1以上 H1以上 M(+)